世界の歴史〈9〉ヨーロッパ中世 (河出文庫)

題のとおりです。今日形成されている社会構造の大本、ヨーロッパの歴史的な文化形成が順を追って丁寧に解説されています。中世の始まりとされる西ローマ帝国の滅亡(というよりも西ゴート族によるゲルマン民族の大移動かな)から始まりビザンツ帝国(東ローマ帝国)が滅亡、同時に薔薇戦争が終結するまで、どのようにしてヨーロッパ的な価値観、ひとつの国家という意識の形成と、その国を超えてのEUのような国際的な見方が出来上がったのか、知ることができると思います。歴史的に確かな資料に基づく事実だけでなく、そこから筆者(と筆者が学んだことかな)なりの考え方が、その合間を縫って埋めてくれるので、面白いです。上流から下流までざっと一回なぞるのではなく、いろいろな側面から何度もなぞるようにひとつの時代を章立てて説明されています。パズルやってるみたいにパチパチはまっていくのも楽しいです。冒頭で述べたとおり、"歴史"である以上、ひとつの大きな流れがあるのでてんでばらばらってわけでもないです。安心してください。ちなみに国土面積的に見ると日本という国とヨーロッパという国を並べると思いのほか、日本という国が大きいことに驚くと思います。ヨーロッパ諸外国の言語関係がルーツを同じくして(ゲルマン語とラテン語から派生)、方言的な関係にあることから他言語習得が容易らしいです。まるで日本の方言のように・・・！(沖縄県の方言とか九州の方言とか外国語じゃんとか思ってるのは俺だけ？)個人的に歴史的な地盤がしっかりとしたゲームを個人的につくりたいなーと思っていたのでこの本を手にとって見ましたが日本についてむしろより興味がわいてきたことにびっくりしました。そういった見方をしてみても面白いかもしれないです。あと百年戦争の部分はさらっと終わるのでそこ詳しく知りたい方は、佐藤賢一氏の「英仏百年戦争」をお勧めします。