ベンチャー企業を上場成功に導く 資本政策立案マニュアル[第2版]

10数年のお付き合いのある公認会計士・石割先生の資本政策立案マニュアル本。2008年に初版、リーマン・ショック時期を経て、国内ベンチャー投資が回復基調となった2014年に第2版として本書が登場し、今年5月に第2版が4刷となり、この手の書籍としては好調だと思い、自己の復習もかねて読みました。株式公開を目指すベンチャー企業は、資本政策と資金調達に関して、初期の段階から創業者・経営チームが十分に理解することが重要で、専門家によるプロの意見や考えを聞く必要性を感じています。経営者の周囲にプロがいたとしても、正解は1つではない世界なので、セカンドオピニオンの必要性も検討したほうが良いと考えています。また、ネット上には、資金調達や資本政策に関する情報が多数転がっているとは思いますが、それらを闇雲に探して読んでを繰り返すことは、多忙な経営者にとって現実的な選択肢ではないかもしれません。そこで本書について、「資本政策の基礎」「資本政策の作成」「ベンチャーキャピタルからの資金調達」の3部構成となっています。「資本政策の基礎」では、資本政策の重要性、考え方、関連する用語などを網羅しており、今まで外部から投資を受けることを考えても学んでもいなかった人にとって、わかりやすく解説されており、なんとなく分かったつもりの人の確認のためにも有効だと思います。「資本政策の作成」では、作成にあたっての具体的なポイントの掌握、作成の実務、上場7社の成功事例、更に失敗例も明示さています。自身で上場企業の資本政策を研究する手間や時間を省くことができます。「ベンチャーキャピタルからの資金調達では、VCそのものの理解をし、自社が投資を受けるためのノウハウがコンパクトながら十分にまとめられており、VCからの調達を検討する初期段階から、具体的にVCとの交渉テーブルに乗り始めた段階まで有効です。まとめ的に、どんな方にフィットするかというと、タイトルそのもので、上場を目指すベンチャー企業の経営者は、VCから投資を受けるべきか、それ以外の資金調達で賄うかを判断する段階でも。その他、ベンチャー企業の財務経理を任されているCFO的なポジションの人、ベンチャー企業の顧問税理士など周囲の士業先生でVC投資を受けるベンチャーに関わったことがない人、ベンチャー企業を支援するエンジェルやプロの顧問をされているベテランの方、および、ベンチャーキャピタリストを志す或いはなりたての方、、、あたりに読んで頂ければと思います。わたくし自身も、資本政策事例について自分で調べることをしてこなかったため、とても参考になりました。